洛タイ投書箱



1億総記者時代
2015年 9月 3日


◆…「パクリンピック」なる言葉が生まれるほど、日本の国家的事業「2020年東京オリンピック」が大炎上している。大会のシンボルとなる「エンブレム」が、関連資料まで含めてパクリまくりだった。「新国立競技場建設問題」に次いで、世界の笑いものになった。9月1日、森喜朗元総理を会長とする「2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会」が白紙撤回を発表したもの。森元総理といえば、「日本は、天皇を中心とした神の国」(2000年5月)などおよそ時代錯誤的発言や、「無党派層は寝てくれればいい」(同年6月)など総理時代(2000年4月〜2001年4月)にちゃらんぽらん発言を連発、わずか1年で失脚している。今回の相次ぐ国家的大失態問題、森元総理のイメージと二重写しに見えるのは、私達団塊の世代だけだろうか。
◆…「エンブレム」問題で気になったのは、7月の盗作疑惑発覚から、サントリーのトートバッグデザインのパクリ、今回の「やぶヘビ」となった修正前原案のパクリ、活用例イメージ写真のパクリまで、一連のパクリは、全てインターネット上で一般の人達が指摘したことが発端だった点。組織委員会やマスコミ、国の官僚組織の誰ひとり、パクリに気付かなかった。新聞紙上では、「組織委員会の甘さ」を指摘しているが、本来こうした問題は週刊誌も含め、巨大な経費を投入して活動を展開しているマスコミ全体の仕事ではないのか。中国のネット映像をパクって流し、小馬鹿にしてあざ笑う愚かなテレビ局は、日本を破滅に導く権力への調査報道にもっと目を向けるべきだと思う。さりとて、ネットやスマホの普及は「1億総記者」の様相を見せている。報道の写真や映像に「視聴者提供」がめっきり増えた。その内にマスコミは、編集、配信機能しか残らない時代が到来するかもしれない。
◆…数々のパクリ疑惑に対し、これまでかたくなに守り続けてきた「エンブレム」を白紙撤回するにあたって組織委員会は、「国民の理解が得られない」ことを理由に挙げた。1300億円の建設費がいつの間にか2倍の2600億円にふくらみ、安倍晋三首相が森元総理に頭を下げて白紙撤回した「新国立競技場」もしかり。ならばもうひとつの「国民的理解が得られない」国家的課題も白紙撤回すべきだ。言わずもがなアメリカの戦争に加担するための「安保法案」だ。憲法学者の9割が「違憲」といい、国民の6割が反対、賛成3割という法案が、今月11日にも参院特別委員会での採決が強行されようとしている。「戦争に行って人を殺しも、殺されたくもない」という若者の叫びを、「極めて利己的」と言うバカ者国会議員が登場するほど我が国は今、「戦争に行かない者は非国民」という「極めて戦前」状況に包まれている。
◆…敗戦後奇跡的に戦後復興を成し遂げた、「勤勉」「真面目」「誠実」だったはずの日本人は、ちょっと油断している間に「浪費」「無責任」「無能」なリーダーに身をゆだねてしまった。今回の相次ぐトンチンカンな「白紙撤回」騒動はその象徴的出来事だ。国の借金は1千兆円を超えるのに、軍事費や原発再稼働関連には湯水の如く税金を注ぎ込み、空前の儲けで潤う大企業の税金を引き下げ、不足分は消費税増税や年金、医療など福祉の切りすてで穴埋めをする弱肉強食社会。わずかな「おこぼれ」にすがる、いじましくも情けない有権者や原発立地周辺住民。日本では今、強者の側に立つ強いリーダーが1人暴れまくっているが、弱者の側に立つ強いリーダーが居ない。鞍馬天狗、月光仮面、旗本退屈男、ナショナルキッド、遊星仮面はいずこに。
(城陽市・藤本博)

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