洛タイ投書箱



惜別 今道仙次さん
2014年5月7日


◆…物の現象と本質が直接一致するならば、すべての科学は無用であろう(大意)。マルクスの言葉だと教えられた。
◆…過日、文化パルク城陽にて、故今道仙次さんを偲ぶ会が開かれ、同時に「今道伝説」記念誌の披露も行われた。
◆…上梓された本は、装丁も立派で中味もなかなかのものである。克明に史実を追い時空間を整理した力量は、ありし日の今道(空々しいので敬称は略す。以下も同じ)を彷彿とさせるものだ。後世、城陽の歴史を学ぶ人には格好の資料となるだろう。
◆…野中氏へのインタビューも秀逸。首をかしげる面もあるが氏の見識はさすが。
◆…寄稿文の中では、古瀬善啓氏の飾らない語り口と、懐しさも込めて西口幸男氏の率直さが胸を打つ。
◆…労作に、素直に敬意を表したいが懸念も残る。起きた事象と自説がないまぜになっている。共感する所も多いが、ステージを変えて論じたら。今一つ、副題に「ロマンに生き…」云々とあるが、時系列にこだわってか、ロマンチスト・今道を画き切れなかったのは惜しい。
◆…個々の問題については次回以降に譲るとして、私は、半世紀を、不即不離で過ごした彼との心の交流を中心に披歴する。
◆…私自身、腹心、側近といわれる事が嫌だった。同じ昭和6年の生れ、それなりの矜持もある。分かっている今道は、ヨイショを込めて、城陽の大久保彦左といってくれた。
◆…府議2期目、経営診断の事務所を開いていた私の所へ毎日のように来てくれた。府議に共通の知り合いもいて話が弾んだ。議会3役の一翼、監査を拝命していた彼が、大きな風呂敷包みを抱えていた姿が今も目に浮かぶ。
◆…当時、課題は3期への展望だった。宇治・城陽・久御山で4議席の争いなのだが、大票田の宇治に期待できない今道には、城陽の票を固めるしかなかった(久御山もある程度の地盤はあったが)。
◆…厳しい府議3選目のサプライズとして考えたのは、寺田でずば抜けた人望のある池垣義正氏の取り込みだった。ただ、池垣氏は今道が初出馬時のライバル、池垣末次氏と強い血縁関係を持つ。でも、どうしても陣営に参加して欲しい人、コネのない今道と私は先づ、運送業を営むA氏に橋渡しを依頼するべく6ヶ月間、足繁く通いつづけた。A氏は始めソッケなかったが、2人の熱気とシツコサにほだされたのか、遂に会う日時をセットしてくれた。
◆…思讐を越えて、寺田、そして城陽の為に協力を約束してくれた義正氏の度量と大らかさに、私はこの選挙、勝てると確信した。そして勝った。
◆…その任期途中に、市長選への転進があろうとは夢にも思っていなかったが。
◆…その後の経緯については「伝説」に詳しいが、葛藤を乗り越えて決断した今道の方向性は正しかった。
◆…人間今道仙次を画くことは凡百には難しい。単なるテクノクラートでもないし堅物でもない。口ぐせのように「青いか」(書生っぽい)といっていたし、茶目っ気もあった。統一地方選は前後半に分かれるが、府議選を終えたばかりの彼が市議選の絶叫を聞いて、「よう臆面もなく自分の名前を…」と舌をペロッ。
◆…敬服するのは多忙の中で、ハードすぎるほどの読書家だったこと。下書きを命じられた文章で、私は何気なく「緑少ない城陽…」と書いた。彼の文では「緑無残…」となっていた。負けたと思った。研ぎすまされた感性と崇高なまでの使命感を育んだ原点は読書だったと思う。
◆…とにかく魅力のある人だった。その全体像を描写し切れないもどかしさに、苛まれながら…。(城陽市寺田・藤村眞澄)

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