洛タイ投書箱



問題点の多い、報酬審議会答申
2015年 3月 1日


◆…先日、宇治田原町特別職報酬等審議会(松本健治会長)が町議会議員報酬を増額するよう町長に答申したと報じられた。余りにも問題点の多い答申であることを指摘しておきたい。
◆…まず、「今までにない議会報告会や閉会中の委員会開催など、近年の活動が広範囲になっており、それに専念しなければ責務が果たせない状況にある」として引上げが妥当と判断したということであるが、これは議員が今まで為すべきことをして来なかっただけのことで、議員の職務範囲が新たに拡大されたものでもなんでもない。そもそも議員として勤勉に活動することは当然のことであり、あたかも勤務であるかのように報酬の増減根拠にすることは適当ではない。
◆…次に、「類似近隣自治体と比較すると相当な格差が生まれている」ので、議員の報酬については増額とし、その一方で、「近隣自治体との均衡などを考慮」すると、町長など町三役の給料は、据え置きが妥当としたことについてである。
◆…類似自治体とは、人口的に同規模の町村のことだから、井手町の現状を調べて比較した。その結果、町長が同額で73万円、副町長も同額で60万円、教育長が井手町55万円、宇治田原町56万円となっている。したがって、町三役の給料を「均衡を考慮し据え置き」としたことには理解ができる。
◆…しかし、議員については、井手町で議員20万円、議長29万円、副議長22万円、宇治田原町で議員20万円、議長30万5千円、副議長23万円となっており、議員が同額で、議長が1万5千円、副議長が1万円、宇治田原町の方が高くなっているにもかかわらず、「相当な格差が生まれている」というのは、間違っている。
◆…次に、「議員定数の削減や数々の改革を行ってきた」と、報酬を増額する理由にしているが、議員定数は、井手町と宇治田原町のいずれも、この間に削減されて来ており、現在は井手町10人、宇治田原町12人となっている。何も議員定数を削減することが改革でもなく、議員報酬を増額してよいということにはならない。審議会が議員定数の削減を評価するのであれば、井手町より議員が2人多い宇治田原町の議員報酬が井手町より高いというのは筋が通らない。
◆…不可解な答申である。なぜ引き上げる金額や率を明確にしないで、「増額が妥当」と曖昧にしているのか理解に苦しむところである。報酬額が適当であるかどうかの諮問を受けているのであるから、「増額すべきだが金額は良きに計らえ」では無責任で十分な審議が尽くされたとは言い難く、適正な金額数字を明確にすべきである。
◆…今回の報酬審議会の答申には、理解し難いことが多いが、なぜ今引き上げる必要性があるのかという重要な疑義がある。
◆…今日、デフレからの脱却をするために、アベノミクスといって様々な財政政策や金融政策が講じられており、大企業の一部や株価などにおいて、その成果が現れつつあるものの、地方の中小企業や個人事業所においては、その効果が行き届いておらず引き続き厳しい経済状況に陥っている。
◆…また、年金生活者や低所得者にあっては、日常生活品の値上げや消費税の引き上げによって、日々の生活が苦しくなって来ている現実にある。
◆…さらに、労働賃金は、一部の大企業において賃上げされているが、零細な会社で働く我々は、会社を維持存続するために給料が削減されている厳しい実態にある。
◆…このような厳しい社会環境を鑑みずに、議員だけが報酬を増額して許されるものであろうか。本来、住民が苦しみ困っているときにこそ、議員は自らが率先して痛みをともなってでも改革すべきではなかろうか。
◆…今後、恐らく町長は答申を尊重して、3月議会に条例改正案を提案されると思われるが、議会は良識の府として、住民の信頼を損なわれることのないように慎重に判断されることを期待するところである。
 (元町議会議員)

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