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2018年5月17日

TODAY NEWS

城陽市の違法行為に道開くな
文パル売却訴訟

口頭弁論で皿木氏怒りの陳述



 地方公共団体が、「市長の権限」で道路や学校などの「行政財産」を売却することが許されるのか―城陽市は財政に行き詰まり、「文化パルク城陽」をファイナンス会社に売却し、不足資金を手にする代わりに巨額の借金を背負う「セール&リースバック方式」を実施したが、当該行為の違法性と無効を求める住民訴訟の第1回口頭弁論が16日、京都地裁で開かれた。全国初の注目訴訟とあって、報道各社の取材があり、支援市民の集会が開かれるなど、大きなうねりの出発点となった。

 城陽市は今年2月1日、「NTTファイナンス株式会社」(本社東京都)と「セール&リースバック契約」を締結。契約の内容は、「城陽市が文化パルク城陽を80億円でNTTファイナンスに売却。市は、リース料として毎年4億円を25年間、合計100億円を支払う」というもの。文化パルク城陽は、図書館、コミセン、プラネタリウムなどの複合施設で、極めて公共性が高い「行政財産」だったが、市は契約当日に市長権限で「普通財産」に切り替え、売却を行った。現在はNTTファイナンスが所有している。
 市が昨年6月に売却方針を固めて以降、市民や議会から「新たな市民負担になる」「市民に説明を」「身を切る改革が先」「違法行為だ」などの声が噴出したものの、市は昨年12月議会に関係議案を提出し、賛成多数で可決された。市民に十分な説明を求める賛成議員の声に対しても市は、広報紙(2017年12月1日号)で「負担の平準化を図ることが目的」「市民負担は現状より減少する」など、誤認識を与えかねない説明を行っただけで「十分だ」とし、市民説明会などの開催は拒否したことから、かえって市民の不信感が高まり、今もって尾を引いている。
 住民訴訟を行ったのは、文化パルク城陽の運営主体である城陽市民余暇活動センターの前理事長で、城陽市の元部長でもある皿木睦夫さんをはじめ、市民団体役員の開沼淳一さん、岡本やすよさん、亀井成美さんの4人。
 皿木さんは昨年12月、開沼さんら3人は今年1月に「行政財産を売却することは地方自治法238条の四第1項で禁じられており、明白に違法であり無効」だとして行為の差し止めを求めて監査請求した。これに対し2月、川村和久城陽市監査委員は「市長の政策的判断であり、違法性はない」と市側の主張を全面的に認めた監査結果を両請求人に発したことから今年3月16日、4人は共同訴訟に踏み切った。
 4人は訴状で、地方自治法238条の四第1項違反に加え、同法第2条第16項の「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない」を根拠に、売却は無効だと主張。奥田敏晴市長に対し「NTTファイナンスに対し所有権移転登記を行ってはならない」「賃料を支払ってはならない」「土地建物の返還を請求しなければならない」と行為の差し止めを求めている。
 これに対し、市は「答弁書」(18年5月15日提出)で、「無効確認の対象は、財務会計上の行為であることを要し」「行為の結果如何によって直接に城陽市に財産的損害を与える、または恐れのものに限られる」と反論、「行政財産の用途廃止決定は、公有財産管理上の内部的行為に過ぎない」と主張し、住民らの訴えを棄却するよう求めている。また、賃料の支払い差し止めについては「住民監査請求で対象になってない」と却下すべきとしている。
 第1回口頭弁論は、この日午後1時半から京都地裁203号法廷で行われ、久保田浩史裁判長が指揮した。傍聴席は、住民訴訟の支援者で満席に。冒頭、原告を代表して皿木さんが陳述を行った。皿木さんは、文化パルク城陽が「市民活動の拠点として、屈指の総合文化施設であり、城陽市民共有の価値ある公有財産、行政財産」であるにもかかわらず、売却について「市民に詳しい説明がない」どころか、「多くを隠し、こじつけの説明をしている状況に怒りと驚きを感じてきた」と、市の強引な行政運営を厳しく批判した。その上でとりわけ、市とNTTファイナンスとの間に交わされた「セール&リースバック契約」について、「災害等で資産価値がなくなれば、施設賃貸料の総額を支払わなければならないなど、市に極めて不利な条件」が課せられているのに、こうした「重要な契約条項は、昨年12月の市議会議決の時点で、議員にも知らされてなかった」とズサンで不誠実な市の対応と、議会のチェックの甘さを鋭く衝いた。最後に「文化パルク城陽の売却が認められれば、自治体の所有する全ての行政財産は売却が可能となってしまう」と自治体の違法行為に道を開くような判決とならないよう、裁判官らに求めた。
 このあと原告団は弁護士会館で、支援者への報告会を行った。集まったのは約40人。杉山潔志弁護士から訴訟の争点について、類似訴訟の判例など詳細に説明があり、「市の主張は的外れ」と答弁書をバッサリ。また城陽市に不利な規定も含まれている「契約書」の内容が、市民どころか議会にも説明されていない点についても、今後の主張の中で訴えていくと説明した。「市民を代表して参加した」という城陽市在住の岩佐英夫弁護士は、「裁判において、『傍聴人は無言の弁護人』という言葉があります。市民の財産を、市長の権限で勝手に売るなどは到底許されない。今後、訴訟をバックアップする、支える会的なものを立ち上げていきたい」とさらなる支援を呼び掛けた。【藤本博】
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