記者席



将来の夢、ありますか?
2018年4月12日


◆…「将来の夢ってありますか?」。少し前、ある取材先で急に聞かれた。あと3年で定年だというその人は「急にごめんなさいね」と断りながらも「いまの仕事はとても楽しい。でも、他にもやってみたいこと、やりたい夢がたくさんある。あと3年は仕事を突っ走るけど、それ以降はいろんなことに挑戦したい。生きてる間に全部できるかな」と、まるで子どものような笑顔で話してくれた。
◆…先日、京都府の新知事に西脇隆俊さんが選ばれた。国政では対立する政党が同じ候補者を推薦し、「非共産対共産」の構図は従来の知事選と変わらなかったという声も耳にする。投票率も過去2番目の低さだった。京都府民歴が浅い私は、府政の歴史も過去の知事選の経過も「分かったようで分かってない」のが正直なところ。16年間山田府政が続いていたことも、山田啓二知事が「若そう」な見た目によらず案外お年を召していたことも、今回の選挙で初めて知った。
◆…西脇さんは知事選で「山田府政の継承」を掲げ「16年間の山田知事の取り組みを受け継ぎ、発展させ、新しい京都を作っていきたい」などと有権者に呼び掛けた。元エリート官僚の姿そのままに、感情を出さず、抑揚もなく「答弁書を棒読み」のような政策の訴え。応援弁士たちが持ち前の話術でいくら会場を盛り上げても、本人が登場すると途端にクールダウン。「この人で大丈夫かな」と不安を抱いた有権者も少なくなかっただろう。
◆…8日の投票終了後に開いた当選祝賀会で、山田知事は「これで、知事としての私の最後の仕事が終わった」と切り出し、西脇さんに祝いの言葉を贈った。「自身の取り組みを継承してくれる人に後任を譲る」という夢を叶えたからだろう。とは言うものの、西脇さんは「山田啓二ジュニア」ではない。自身で考えた府政ビジョンが、多かれ少なかれあるはず。むしろ、あってくれないと困る。正式に京都府知事としての仕事が始まってから、どんな府政を示すか気になるところだ。もちろん「夢」だけでは語れないだろうが。
◆…冒頭の話。「夢はあるか?」という質問だが、あまりに唐突で脈絡なく聞かれたので、返答に詰まってしまった。そのうえ、いくら考えても明確な「これ」というものを見いだせず、何だか恥ずかしくなってしまった。一瞬のことだったが、人生の先輩から投げかけられたひと言で、いろいろなことを考えさせられた。みなさんは「将来の夢」、ありますか?【盛川振一郎】

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