記者席



城陽市の不思議な民主主義
2018年4月11日


◆…今年2月、城陽市内にある府立西城陽高校が、「18歳選挙権」を踏まえ、2年生生徒を対象に「主権者教育」を行った。それは、城陽市議会との「意見交換会」という形で、初めての意欲的な取り組みだった。いくつかのテーマについて話し合われたが、その中で「文化パルク城陽売却問題」に生徒らの関心が集まった。コンサートや各種発表会など日常的に利用することが多いことや、全国に例を見ない稀有な施策だからだ。「文化パルク城陽を売却するメリットは何ですか」と生徒らの問いかけに、議会内の各会派代表が、賛否両論の意見を述べた。
◆…ところが、この「意見交換会」の場で、「文パル売却問題」が取り上げられたことや、議員がそのことで意見を述べたことに城陽市の井関守教育長と幹部職員が、数日経って突如横ヤリを入れた。教育長は京都府教委高校教育課に、幹部職員は高校の担当教諭に、それぞれ電話を入れたという。幹部職員は「事実確認しただけ」で、「抗議などしていない」と圧力は否定する。しかし教育長は、府教委に物申した理由を、先月23日の市議会予算特別委員会や同29日の全員協議会で明確に、正直に述べている。@文化パルク城陽売却問題を主権者教育として高校が取り上げたことを、公教育のあり方として疑問に思ったAきちんと説明ができる市の担当者が居ない場で、議員が意見を述べたことはおかしいーの2点だ。
◆…井関教育長の言動は、城陽市議会で問題視され、京都新聞、城南新報、本紙の3新聞紙上でも大きく取り上げられ、市議会でも異例の全員協議会が開かれた。少々トンチンカンながらも、「行政を守ろうとする側」「問題点を指摘する側」入り乱れて、日ごろはお目にかかれない熱い議論が交わされた。何故こんな問題が起こったのか、どこに問題があったのかを、「城陽市で民主主義は機能しているのか」の視点から、歴史的な経過や背景を探りながら少し検証してみた。
◆…一般論ながら、私たちの住む日本国は、民主主義の国だとされている。基本は、自由に考え、誰に束縛されることなく憲法や法令規など社会規範の範囲で行動する自由が認められた国だということ。人々が、社会の在り方について考え、行動する源泉は、行政や権力機関が保有する膨大な「情報」にほかならない。ただ古今東西、権力者が権力保持のためにすることは決まっている。「不都合な情報」を隠ぺいし、「都合のよい情報」を垂れ流すこと。戦前における日独伊の全体主義国家、現在の共産国だけではない、日本の国で今、南スーダンPKO派遣やイラク派遣時の日報隠し、加計学園や森友学園の公文書改ざん、国会でのうそ答弁などが次々に白日にさらされているが、「事件の主犯」が割れるのは時間の問題と思いたい。
◆…「総理のご意向」と書かれた公文書が、本物であることをバラし、安倍晋三総理に歯向かった前川喜平前事務次官が、名古屋市の公立中学校で講演を行ったことに対し、自民党議員の指摘を受け、文科省が名古屋市教委に「問い合わせ」とする圧力メールを送ったのも、「本当のことを喋られたら困る」「裏切者はつぶせ」という権力側の強い思いを端的に物語る行為だ。
◆…さて少々前置きが長くなって恐縮至極ながら、城陽市を舞台に起こった今回の出来事は、「不都合な情報は隠す」という点で、日本国で今次々に露呈している問題と軌を一にしていて気色が悪い。ただ、城陽市の情報隠し体質は、今さら語るのもはばかれるほど根が深い。1989(平成元)年に、当時の今道仙次元市長により、京都府で初めて制定された「城陽市情報公開条例」が、97年の市政転換後の過去26年間ほどの間に「情報公開請求→非公開→不服申立て→審査会答申→公開」を数えきれないほどくり返してきた。
◆…まるで国の動きを先取りするかのような出来事が、次から次へと起こり続けてきた26年間だった。05年度には、「公文書不作成」について市が設置している「情報公開・個人情報保護審議会」から「異常事態」「情報公開の流れに逆行」などと叱責を受け、翌06年5月に発覚した「公文書改ざん事件」では、「市民を欺き、行政に対する市民の信頼を失墜させる行為」と厳しく指弾された。全国的に話題を集めた、市内中学校教諭が生徒と親しくなるためと称して行われた「パチンコ授業」(09年11月〜10年1月)問題では、本当に信じられない出来事が起こった。
◆…市内NPO団体の請求に応じ市教委が11年3月に公開した公文書には、学校名、校長名など学校に関する情報は全面的に黒塗り「非公開」とされた反面、何と生徒の複雑な家族関係や私生活などプライバシーを「公開」したのだ。要は、「教師は被害者」「生徒が加害者」という構図を作る意図としか思えない倒錯した公開内容に、審議会も「高度に秘匿すべきを公開した」と驚き、「市教委の情報公開に対する理解不足」を叱った。
◆…そんな、こんなのくり返しで今日まで来たが、その基本スタイルは今もって不変。最近は、京都府学力テストの学校別成績の公開について、審査会の答申さえも市教委はかたくなに無視するなど、公開度レベルがむしろ下がってきた印象もある。城陽市の情報公開で何が問題なのか。「市役所が有する公的情報は、市民共通の財産」だとの意識に欠け、自己都合のための「情報隠し」が行われている点だ。
◆…府立西城陽高校が行った「主権者教育」に対し、城陽市役所が府教委に疑念を投げかけ、高校の担当教諭に「事実確認」と称する圧力をかけたことは、そんな城陽市役所の情報隠し体質という土壌の上で起こった。@「主権者教育」に対する教育長の考え方についてA議員全員協議会での熱い議論の内容B同じ出来事について、市役所の2つの部署から提出された公文書の食い違いーの3点を中心に、問題点を探ってみた(つづく)。【藤本博】

記者席のインデックスへ
copyright©洛南タイムス
京都府宇治市宇治壱番26  TEL0774−22−4109  FAX0774-20-1417
※このサイトに掲載される記事や写真、その他のデータの著作権は洛南タイムス社またはその情報提供者に属します。無断転載を禁止します。