ポリオ根絶ボランティア活動で垣間見た
最近のラオス事情
高橋内科医院院長 高橋 権也

第2回 妊婦や子供の死亡率が高く医療サービスはこれからです



病室の風景
 現在、日本からラオスへの直行便はありません。私たちが利用した便は、関西空港午前10時半発ハノイ行きのベトナム航空です。ハノイには関西空港から5時間のフライトです。2時間の時差ですので、現地時間の13時40分に到着します。そこでラオス航空に乗り換え、1時間ちょっとでラオスの首都ビエンチャンに到着します。ビエンチャンの空港は今、日本の援助で3倍の大きさに建て直しています。
 前回、18年前に訪問した時のラオスの人口は460万人でした。2016年のアメリカ中央情報局の資料では702万人、2015年ラオス統計局の資料では649万人です。非常にばらつきがありますが、18年間で約1・5倍に増加しました。以下の統計はアメリカ中央情報局の資料(2016年版)です。
 女性が生む子供の数はここ数年減少中ですが、それでも2・76人(日本は1・4人)で、ラオスの人口は1・53%の割合で増加中です。平均寿命は2016年、男性が62・2歳、女性が66・4歳、全体では64・3歳(日本は85歳)。アジアの国々ではミャンマーに次いで短命です。65歳以上の高齢化率は3・85%(日本は27・3%)、14歳以下は33・4%(日本は13%)の若い国です。
 死産は分娩千件当たり51・4人(日本は2人)、妊産婦の死亡率は分娩10万件当たり197人(日本は5人)です。産科医ばかりでなく、助産婦の数も少なく安全なお産が提供されません。それでも18年前は妊産婦の死亡率は今の5倍もありました。
 ラオス全体の医師数は人口千人当たり0・18人(日本は2・3人)です。毎年150名程度の医師が育っており、そのうち4割は病院へ、6割が保健所などへ配属されるそうです。ベッド数は人口千人当たり1・5ベッド(日本は13・7)です。病気のリスクは非常に高く、食べ物や水、蚊が原因の感染症(A型肝炎、チフス、デング熱、マラリアなど)が死亡の原因になります。
 ラオスでの医学教育は保健科学大学の医学部で行われています。18年前にお聞きしたときは、まだ医学部の臨床教育は行われていませんでした。その後、日本の支援で教育病院が整備されつつあります。立派な医師が育つにはまだまだ時間がかかります。
 象のふるさと、サイアブリ県の病院を見学しました。この地域で最も大きな県立病院です。お昼頃見学に行きましたが、外来は患者さんで一杯でした。医師数120名で、外来診察室、歯科治療室、手術室、分娩室、レントゲン室、検査室、薬局などがありました。患者さんの世話は家族が泊まり込んでします。一人の患者さんに2〜3人の家族が付き添っていますので、我々10人が見学で入室しますと、病室は騒然としていました。
 簡単な病気や外傷はこの病院で治療しますが、重症になると飛行機で1時間、車だと11時間かかるビエンチャンに搬送します。それでも手に負えない場合は、隣国タイの病院へ転院するそうです。先日、若い方が重度の外傷で地元の病院からビエンチャン、そしてタイまで転送されましたが、助からなかったそうです。タイの医師が「もう少し早かったら助かったと」言っていたとお聞きしました。  ラオスではまだ医療保険がありません。1日の入院費用は30〜70米ドルかかりますので、10日も入院したら全財産が無くなるそうです。それに病院へ行ってもなかなか診てくれない、現金を見せればすぐに診てくれるなど庶民の不満は多いようです。軽い病気は薬を買って自分で治すが、薬代も高価です。(つづく)

<<BACK 目 次 NEXT>>

copyright©洛南タイムス社
京都府宇治市宇治壱番26
TEL 0774-22-4109 FAX 0774-20-1417

※このサイトに掲載する記事や写真、その他のデータの著作権は、洛南タイムス社
またはその情報提供者に属します。無断転載を禁止します。